福岡県北九州市若松区で野生のサルに襲われる事件が頻発していることについて

連日ニュースで報道されていますが、福岡県北九州市若松区で野生のサルに襲われる事件が多発しています。

北九州市に生息するサルは他の地域とは少し違った特性を持つことで知られていますが

一般の方はご存知ないと思いますので、現役猟師目線から見たサルの状況について

分かりやすくご紹介したいと思います。

事件の概要

ニュース記事

北九州市若松区で人がサルに噛まれるなどの被害が続いています。26日から2学期が始まることを踏まえ市は各家庭に注意を呼びかけています。

若松区内では4月から7月までで前の年の3倍を超える約110件のサルの目撃情報が寄せられています。25日朝も小敷ひびきの周辺などで4件の目撃情報があり、警察がパトロールにあたりました。

8月17日には9歳の女の子が自宅の庭で噛みつかれたりするなど被害を受けた人は13人に及んでいます。

市の鳥獣被害対策課がわなを仕掛けるなどしていますが捕獲には至っていません。

北九州市は25日午前、緊急対策会議を開く一方で、26日から2学期が始まることを踏まえ学校から各家庭にメールを送り注意を呼び掛けています。

 

ローカルニュースだけでなくYahoo!ニュースのトップでも取り上げられました。

 

最新のニュースでは、東京の住宅街でもサルが出没して大騒ぎになっています。

東京都心で、サルの目撃情報が相次いでいる。

縦横無尽に飛び回る姿に、住民からは不安の声が上がっている。

都内の住宅街は、26日も物々しい雰囲気に包まれた。

東京・北区にあるビルの屋上に姿を見せたのは、サル。

電線を渡り、電線から電線にジャンプ。
住宅の屋根に飛び移る、あまりの素早さに、警察もお手上げ状態だった。

取材班のカメラは、朝から街中を移動するサルの姿をとらえていた。

サルが現れたのは、荒川区西日暮里駅近くの住宅街。
近くには、学校や幼稚園も点在している。

付近のマンションには、「サル出没中!」と手書きの貼り紙。
ガレージには、シャッターが下ろされている。

食べ物を求めて人を襲う危険性があるため、警戒感が広まっていた。

網や雨どいを使い、縦横無尽に動くサル。
屋上から地上を見下ろす表情には、余裕すら感じられる。

サルの目撃情報は、数日前から都内で相次いでいる。

4日前には東京・板橋区の赤塚で、電線の上を悠々と歩くサルの姿が目撃されている。

24日は、北区西ヶ原でも。
警察官から逃げるサルは、頭上の電線を歩き屋根にジャンプ。
逃げ込んだ神社で見失った。

25日から26日にかけては、荒川区の西日暮里に出没。
専門家によると、同じ個体である可能性が高いという。

住宅街をわが物顔で動き回るサルに、付近の住民からは「あー大変。こっちに来たんですね」、「おなかすいたりすれば、凶暴になっているでしょう。人間も怖いけど、サルも怖いね」など、不安な声が聞かれた。

エサを求めて住宅街に現れたサルは、人に危害を加える可能性もあり、遭遇しても刺激しないよう注意が必要。

 

 

サルによる人的被害の発生状況

2021年8月7日(土)8時45分頃

若松区有毛で30代の農業の女性が、農作物を収穫の際、サルにズボンの上から噛まれたとのこと。

出血等はなし。

 

8月10日(火)9時10分頃

若松区安屋の70代の女性が、自宅庭で洗濯物干し中にサルにふくらはぎを噛まれたとのこと。

出血等はなし。

16時頃

安屋地区を巡回中の30代の男性警察官が左脚を噛まれる。

17時頃

脇田地区の70代の女性が、台風の後片付けのため扉を直していたら後ろから左ももの裏側を

噛まれたとのこと。出血等はなし。

18時10分頃

安屋地区の60代の女性が、駐車場で車から降りる際、左右の膝裏を噛まれたとのこと。

出血等はなし。

 

8月12日(木)朝

原町の30代の女性が朝、自宅を出たところ、玄関前でサルにズボンの上から左太ももを

噛まれたとのこと。出血等はなし。

 

8月15日(日)11時55分頃

赤崎町の60代の女性が、自宅で車から荷物を降ろしている際に後ろから

右の臀部(でんぶ※お尻辺り)を噛まれたとのこと。出血等はなし。

 

8月17日(火)14時30分頃

二島地区の9歳の女子が、自宅の庭で猫を追いかけてきたサルと目が合い、左ひざの上部を

噛みつかれ、右ふくらはぎを引っかかれたとのこと。2カ所ともかすり傷あり。

北九州市産業経済局鳥獣被害対策課 発表

 

その他目撃情報


北九州市も注意を呼びかけています。

報道だと8月7日から相次いでということですが、ツイッターの過去を追っていくと

以前から頻繁に目撃情報が寄せれられていたようです。

ヒトを襲ったサルはどんなサル?

野生のサルは農作物だけでなく、時に人的被害ももたらせます。

今回、13人を襲ったサルはどういったサルでしょうか?

事件の核心に迫ります。

一連の事件の犯人は同じ個体か?

こちらの地図は北九州市が発表した一連の事件のおおまかな場所です。

全て同一犯ではないということが、この地図から分かります。

目撃情報や事件の状況から単独犯であることは間違いないようですが

どういったサルがヒトを襲ったのでしょうか?

ハナレザルによる被害

本来、サルは群れで生活します。ですがオスは4〜5歳になると群れから出て行き、単独行動を取ります。

この単独行動を取っているサルをハナレザルと呼んでいますが、このハナレザルが市街地に出没してヒトを襲ったり

農作物を食い荒らしたりしています。

サル(ニホンザル)の生態

ニホンザルの生息地

本州、四国、九州、その他、屋久島、種子島に生息しています。

逆に北海道や沖縄はもちろん奄美大島などの離島には生息していないと言われています。

ですが驚きなのはニホンザルのwikipediaでは茨城県ではサルが絶滅しているとのことでしたが

調べてみると、ここ数年、茨城県内でも多数の目撃情報が寄せられ、自治体が注意喚起をしています。

真意は分かりませんが、一旦は絶滅したが、再び流入したということでしょうか?

それはともかく実際、目撃されているのは事実のようですので、茨城県の方も気をつけていただきたいところです。

ニホンザルによる被害状況

出典元は環境省で少し古い統計ですが、大幅に今とは変わらないと思われます。

グラフを見てお分かりの通り、農作物の被害が大きいのはシカ、続いてイノシシ、その次にカラスのあとに

サルが来ています。

可哀想だ、可愛いなどと言われるシカの被害がダントツで多いことがお分かりだと思いますが

なぜ、シカ、イノシシ、カラスのあとにサルなのかというと

単独での行動や果実を奪って食べる程度(といえば農家の方から叱られますが)ですが

シカは顔に似合わず?胃袋は獰猛で、4つの胃を持つ反芻(はんすう)動物だからです。

ちなみにイノシシは大食感はもちろんですが、穂が実った田んぼに入ると食べる食べないはともかく

イノシシの臭いが強烈すぎて、その田んぼが全部ダメになることから被害が拡大傾向にあります。

人的被害を及ぼす有害鳥獣

やはりここ最近もニュース等で報道されているクマによる人的被害が圧倒的に多いですし

被害に遭った場合、死亡や重傷するケースが多いので、気をつけなければいけません。

クマの被害で多い都道府県はどこ?

という質問をしたら、ほとんどの方は北海道と答えるでしょう。

北海道より多いのは岩手県や新潟県、石川県や福井県です。

※クマによる人身被害件数(環境省HP)より

以前にも取り上げましたが、イノシシも人的被害が多く、重傷、最悪死につながる危険性があります。

一方、サルはというと、前述しました通り、噛まれても引っかかれても“出血等はなし”で済まされていますが

これは大きな間違いで、Bウイルスという感染症に感染した場合、約4割の人が亡くなるという

非常に致死率が高い病気が感染する可能性があります。

といっても感染するケースは非常に稀とのことですが、全くゼロではありません。

また、傷口からばい菌が侵入して化膿する場合があります。

万が一、噛まれた場合は病院に行って診察してもらった方がいいでしょう。

 

今回の一連の事故では、被害者のほとんどが不意打ちを食らっています。

身体的な怪我は時間が経てば治るかもしれませんが、精神的な傷はなかなか治りません。

特に今回の事故というより事件では、9歳の女児が自分の家の庭でサルに噛みつかれています。

目を合わせるから悪いんだ!

と言われる方がいらっしゃるかもしれませんが、猫を猿が追いかけていたら普通は見るでしょう…。

気になるのは、今まで追いかけていた猫を諦めて女子を襲ったということ。

一般的に自分より大きな動物に対しては危害を加えられたり、逃げ場がなくなる等追い詰められたりしない限り

襲わないものですが、それでも襲ったということは、何かしらの理由があるのでしょう。

ニホンザルは保護対象動物である現実

私たち猟師は、猟期になればどんな鳥や動物でも捕獲していいというわけではありません。

鳥類は28種、獣類は20種と限定されています。

※都道府県によって変わります

その中にサルは含まれていません。

要は狩猟対象鳥獣ではなく、非狩猟鳥獣なのです。

言い換えれば、カモシカなどと同じく保護対象の動物なのです。

ですから、サルを捕獲するには有害鳥獣捕獲従事者である必要があるのですが

私が狩猟者登録している地域の有害鳥獣対象鳥獣は、イノシシ、シカのみでサルは含まれていません。

もしサルが出没しても何もできないのです。

上記のニュースでは、罠などを設置してサルを捕獲する作戦が取られているようですが

おそらく北九州市が罠を仕掛けているのでしょうが、そう簡単には捕まりません。

サルは非常に頭がいいだけでなく、市街地へ出没している理由は餌を求めてではないと睨んでいるからです。

なぜサルは市街地、住宅街に出没するのか?

前の項で触れたように、エサを求めてではないと考えています。

理由は特にありません。

大変申し訳ないですが、何となくそう思うからです。

それは北海道でヒグマが出没した事件の時も同じように書きました。

実際、射獲したクマを解剖した結果、空腹ではなかったことが証明されました。

今回、住宅地に出没した理由をサルに聞くことができるなら、きっとこう答えるでしょう。

ただ行きたかっただけ

おいおい、それはないだろう!

とお思いでしょうが、野生鳥獣に理由付けをする方に無理があります。

登山が趣味の方に、なぜ山登りをするんですか?と聞くと

そこに山があるから…と答えるでしょう。

人間でもこれですから、それと同じであって不思議ではありません。

※登山愛好家の皆様、他意はありませんので、お気を悪くせずに。。。

サルを見かけたら…

対処方法

1 近づかない

不用意に近づくと襲われることがあります。特に幼児などは危険です。

2 目をあわせない

目を見つめると、サルが威嚇されたと思い襲われることがあります。

3 大きな声を出さない、驚かせない

サルの防衛本能を刺激することになるので止めましょう。

4 絶対にエサを与えない、エサを見せない

人がエサをくれることを覚えるとサルがそこに居ついたり、周囲の人家に侵入するなど地域全体に被害を引き起こす原因となります。また、エサとなるものを屋外に放置しないようにしましょう。

5 戸締りを徹底し、家への侵入を防ぐ

2階の窓から人家に侵入することもあるので、十分注意しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

被害に遭われた方の1日も早い回復と地域の安全を心よりお祈りしております。

こうして記事を更新している時でも続々と目撃情報が寄せられていますが

一方で、こういったサルは悪くない、悪いのは人間だという意見もあります。

まず聞きたいのですが、8月17日にサルに噛まれた女児に

悪いのは人間だ、悪いのは大人だ、だからお嬢ちゃんが噛まれても仕方がないよ

と言えるでしょうか?

また、こういった意見は周回遅れで、すでに論破されているのですが、あえて触れますと

例えば、長崎県は坂が多く、山の麓までビッシリ住宅がひしめいています。

長崎県の果物ランキングでは、国内全体の3割を占めるビワの他、津之輝、紅まどか、ツノノゾミ、ゆうこうなどの

柑橘類は全国トップの出荷量を誇り、その他の柑橘類も全国有数の出荷量を誇る長崎県ですが

野生のサルによる農作物の被害は年間1万円程度だそうです。

環境省HPより

あれ?おかしいですね。

自然破壊のせいでサルが住処を失ってるんじゃないんですかね?

柑橘類はサルの大好物なはずですがね。

こういったイメージだけで判断するのは良くないです。

筆者は猟期になると猟犬を伴って山を歩きますが

山では一度たりともサルを見たことがありません。

唯一見たのは、我が家の前の道路を堂々と歩いてた丸々と太ったサルだけですが

これだけ目撃情報が寄せられ、実際人的被害が出ているとなると

北九州市は本格的に調査に乗り出さざるを得ないでしょうね。

実際、北九州市小倉南区ではメス猿に発信機をつけてモニタリングをしており

群れを特定して、花火や空砲などで追い払いをしているそうですが

増えすぎているようであれば、有害鳥獣にニホンザルが対象になる日が来るかもしれません。

罠であれば捕獲できたら捕殺できるでしょうが、木の上にいるサルに向かって引き鉄を引くのは

躊躇するかもしれません。

そういった苦悩も猟師は抱えてるということも、こういったニュースを通じて知っていただきたいです。

新米猟師よりより

狩猟歴3年目の兼業猟師で週末猟師。

元スキューバダイビングのインストラクターで潜水士。

前世はポリネシア人の漁師らしい。

YouTubeチャンネルJIMNY 4 LIFEにてJB64ジムニーの紹介動画

狩猟釣り(主にカヤックフィッシング)キャンプの映像を配信中。

ブログFacebookInstagramTwitterなどのSNSでも情報を配信。

夏はカヤックフィッシングキャンプ、秋口〜春先にかけては主にイノシシの有害駆除の様子を

自身のYouTubeチャンネルで配信。

だが、全く法律違反していないのに誰かが通報し、警察署へ呼び出され

そのことをYouTubeで言って、記事を書いたらバズる。

先日有料級の記事を書いたらえらく好評だったので、シリーズ化したいと思ってる。

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趣味はプロレス観戦。

好きなプロレスラーはケンドーカシンなどのマスクマンや、グレートムタなどの怪奇派レスラー。

 

猟犬カシン

令和元年11月22日生まれで今現在1歳8ヶ月のオス。

(2021年7月現在)

よくラブラドールレトリバーに間違えられるが

父に実猟系の紀州犬、母に日向犬を持つ純和犬。

名前はプロレスラーのケンドーカシンに由来する。

普段は人や飼い犬に対してフレンドリーな性格を持つが

イノシシを前にすると勇猛果敢に吠え立て突っ込み、場外乱闘を得意とする。

そのため常に生傷が絶えない。

今年(令和3年度)の活躍に期待。

YouTubeでのカシンの成長記はコチラ

 

猟犬見習いタイガー

令和3年2月2日生まれ。

(正式な誕生日は分からないが、大体このくらいだろうとしている)

保健所がかけた罠で捕獲され、殺処分のところを引き取り

猟犬見習いとして飼育、訓練中。

名前の由来は息子の意見を採用し、タイガーマスクからタイガーと命名。

だが、筆者は勝手にタイガージェットシンから由来と決めつけているが

第一希望であったブッチャーにしておけばよかったと後悔している面もある。

好き嫌いは全くなく、とにかく食欲旺盛。

スワレ、オテ、オカワリ、フセ、ゴロン、呼び戻しはほぼマスター。

来期(令和3年度)デビューの予定なので、箱罠にイノシシがかかり次第、単犬であててみたいと思っている。

YouTubeでのタイガーの成長記はコチラ

タイガー
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