令和2年11月11日(水)の旧ブログの記事をリライトしてみました。
この日は、単独猟ということで
僕、新米猟師よりよりと、狩猟犬見習いカシンのコンビで出猟しました。
周りにはほとんど民家はなく、車の通りもほとんどない山で、訓練にはピッタリ!
しかも、アスファルトの脇で吹き溜まりになってる落ち葉には
イノシシが鼻でミミズをほじくったであろう痕跡が無数にある!
これは、早々に出るかもしれない。
そう思い、山に入る準備をしました。
入山後、すぐに離れようとするカシンを竹笛で呼び戻しながら
尾根を歩くこと数分、カシンが藪で吠える声が!!!
その距離約40m、近い!
途中、イノシシに捲られてるような音やカシンの声が聞こえる。
ドッグナビで位置を確認して、あと少しというところで
「キャン」
(ヤバイ、ヤられた!)
薮で姿は確認できないが、ドッグナビでは4〜5mほどにいる。
声をかけると、両後ろ足が血まみれで、右足を引きずりながら帰ってきた。
傷口を確認すると、肛門の右側にポッカリ穴が開いており
ドクドクと血が噴き出していた…。
どうやら、イノシシの牙で突かれたようだ。
リードを繋ぎ、脱砲して山を急いで下りようとするも
カシンはあまり動こうとしない。
猟銃はあるし、木々も生い茂っており、足場が悪い。
そんな中、さすがに20kgを抱えて下るには、リスクがあり過ぎる。
休み休み歩きつつも、声をかけながらジムニーまで戻った。
いつもはスッとバリケンに入るのだが、踏ん張りが効かない右足のせいで
ワイルドグースのミニバスケットに上がれないでいる。
上半身を抱え、半ば強引に乗せると、安全が確保された安心感からか
バリケンに入り、丸まってジッとしていた。
すでに、かかりつけの動物病院には、すぐに診てもらうように電話を入れておいた。
入山してすぐの出来事だったし、ここから10分程度の距離だったのが不幸中の幸いだった。
バリケンに入れたまま、動物病院の扉を開けた。
さすがに、キレイな床を血まみれにするには気が引けるからだ。
アルミのゲージに憧れた時もあったが、こういう時に使い勝手がいい。
焦る僕に対して、病院のスタッフは落ち着いている。
大怪我ではあるが、命に別状はないことを知っているのだ。
診察台に乗ったカシンは落ち着きはないが、動くほどの元気はない。
右足に3本、注射を打った。
痛み止めと眠くなる薬のようだ。
効き目は早く、1〜2分後には崩れるようにグッタリした。
奥で処置をするということで、一旦、帰宅し、夕方、迎えに来て欲しいと言う。
ワンちゃんやネコちゃんを連れた奥様たちの中、土混じりの小汚い格好に
明らかに猟銃ではないか?! と想定される長物を
大事そうに抱える異様な出で立ちは、場の空気を完全に乱していた。
僕は、医者の言われるまま自宅へ帰り、猟銃をガンロッカーへ
スラッグ弾は装弾ロッカーへと仕舞い、少し眠りについた。
17時頃、電話が鳴った。
落ち着いたので、迎えに来て欲しいということだった。
日帰りが嬉しかった。
なぜかというと、入院するほどケガが酷くないということと
その分、病院代が浮くからだ。
動物病院と付き合っていると、日本の国民皆保険制度というものが
いかにありがたいものかが分かる。
数日ぶりに会ったような僕に対して、カシンの方はというと
特にはしゃぐこともなく、申し訳なさそうに尻尾を振っていた。
処方箋をポケットに入れ、先にバリケンの中へカシンを押し込み
バリケンごと抱えて、ミニバスケットに載せた。
家に帰り着いた。
長い一日だった。
彼は犬小屋では絶対に、ウンコ、シッコはしない。
とりあえずシッコだけでもということで、近くの草むらへ連れて行こうとしたが
全く動こうとしない。
右足がつけないから、というよりも、とにかく横になりたい
そう言ってる気がしたので
ハウスに戻ろうとリードを引くと、彼は素直に従った。
1日2回に分けてドッグフードを与えている。
腹が減っているだろうと、いつもの早食い防止の皿に盛るも全く食べようとしない。
仕方がないので、錠剤を半ば強引にドッグフードの粒と一緒に口へ放り込んだ。
残りは、腹が減ったら食べるだろうと、そのままにしておいた。
次の日、様子を見に行った。
隣の家のニワトリもまだ寝静まっている。
犬小屋の前に置いていたドッグフードは一粒すら残っていなかった。
食欲が戻ったら安心。
あとは、時が解決してくれる。
リードを繋いで、真っ暗闇を散歩した。
時折、思い出したように右足を引きずっているが、さすがは猟犬、頑丈に出来ている。
いつもの草むらに着いた。
右足を上げて用を足せばいいものの、右足をついて左足を
それも篠原信一の内股を彷彿とする角度で、長い時間かけて放水作業をしている。
また、我が家に笑いが戻ったのだ。
※ご視聴される方は閲覧注意でお願いします。
さすがにビビったよー。
思わなかったぜ!
怪我だけはしてくれるなよ。