野生鳥獣がヒトを襲った、殺したといったニュースをよく見ます。
今の時期は夏ということもあって、人食いサメの目撃が相次いだり
先月までは、北海道の住宅地でクマが人を襲ったという報道も流れました。
仕事柄、イノシシなどの野生鳥獣に襲われたり、反撃されたりして死傷するニュースをよく見るのですが
そういった私たちにとって身近な害獣が、一体どのくらい人を殺しているかを調べてみました。
地球上で最もヒトを殺す生物は?
マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏の“ビル&メリンダ・ゲイツ財団”がまとめた報告書
“世界の殺し屋の動物たち〜1年で動物に殺されるヒトの数〜“をご紹介しましょう。
※生物の横の数値は年間の死亡者数です
1位 蚊 72.5万人
日本に住んでいると蚊に刺されて死ぬというのは、なかなか想像できませんが
蚊によって媒介される厄介な感染症がマラリア。
ナント、世界の人口の約40%がマラリアの危険に晒されており
その内の90%をアフリカが占めるとの調査結果もあります。
ちなみに筆者は山に行く時は必ず、こういった虫除けスプレーをするようにしています。
蚊はもちろんマダニも怖いですからね。
イノシシに臭いでバレないように無香料を使用しています。
ワンちゃんにはフィラリアという蚊が媒介する感染症があり、感染すると最悪死に至ります。
筆者の猟犬には夏冬問わず、月に1回ネクスガードスペクトラを投与していますが、非常に高価なので
せめてこういった虫除けで、蚊を寄せ付けない対策をしてあげて欲しいものです。
2位 人間 47.5万人
なんとなく想像つきますよね?
ですが、この数値は戦争などの武力行使での犠牲者ではなく殺人のみの人数です。
世界中でこのくらい人殺しがあってると思うと恐ろしいですよね。。。
3位 ヘビ 5万人
やっと動物が出てきました。
日本で有名な3大毒ヘビといえば、マムシ、ヤマカガシ、ハブではないでしょうか?
日本ではヘビによる咬傷被害で年間どのくらいの死者が出ているかというと、0〜数人程度とのことです。
筆者は山に行く時は必ずウエストポーチの中に、このポイズンリムーバーを入れています。
4位 犬 2.5万人
2020年5月に愛知県名古屋市でフィリピンから来日した旅行者に狂犬病発症が確認されたニュースは
まだ記憶に新しいところです。
発症すれば100%死亡するおそろしい病気で、感染者はその後、お亡くなりになりました。
そういったことから日本においては、「狂犬病予防法」という法律が制定され、生後91日を経過した犬の飼い主には
その犬を所有してから30日以内に市町村に犬を登録し、狂犬病の予防接種を義務付けられています。
ちなみに筆者も2頭とも今年の狂犬病の予防接種は終えています。
5位 ツェツェバエ 1万人
初めて目にした名前なので、調べてみました。
ツェツェバエとは、吸血性のハエの仲間の昆虫で、アフリカのサハラ以南に多く生息し
トリパノソーマ症というアフリカ睡眠病を媒介して、人間が感染すると高確率で睡眠障害を引き起こし
死に至らしめることもあるといいます。
ワクチンなどの予防薬がないため、虫除けスプレーや長袖・長ズボンなどで対策するしかないということです。
こういったのを目にすると、日本でよかったと思いますね…。
5位 サシガメ 1万人
これまた初めて目にしました。
調べてみますと、別名アサシンバグ(暗殺虫)という非常に怖い名前がついているんですが
中年米に生息するカメムシの仲間で雑食性ではあるものの、吸血するタイプのものがいて
吸血性のサシガメが人間の血を吸っても直接感染はしないが、そのサシガメの糞にシャーガス病が媒介しており
吸血したあとの傷口から侵入して、上記のトリパノソーマ症と同じ症状を引き起こすことがあるといいます。
日本にもサシガメの仲間はいるそうですが、日本にいるサシガメは人間に対しては無害というより
むしろ益虫で、田畑に生息する害虫を食べてくれるとのことです。
5位 カタツムリ 1万人
5位に3つの生物が同率で並んでいますが
僕らのすぐ身の回りにいる生物の1つのカタツムリ。
幼い頃によくカタツムリを掴んでよく遊んでいました。
小学校の時には「食べ物によって糞の色が変わる」といった
理科の実験をした記憶がありますが、実は大変恐ろしいことで
カタツムリが媒介する“広東住血線虫”がヒトの体内に入ると
中枢神経が侵され、最悪死に至ることもあるといいます。
2000年には沖縄で広東住血線虫に汚染されたサラダを食べて感染したケースや
オーストラリアで19歳の若者が友達と悪ふざけで食べたナメクジから感染して
死亡したケースも報告されています。
8位 回虫 2500人
昭和40年代までは国民の4割が感染していたある意味“国民病”のような感染症だったそうですが
今では幼少の頃から徹底して検査を行っているので、感染例はあまり聞いたことはないでしょう。
ですが犬には犬回虫といった寄生虫がいることがあります。
筆者が以前購入した猟犬の仔犬にも感染していました。
犬は落ちているものを口にするから仕方がないという意見もありますが、虫下しなどでしっかり予防できます。
こういったシロップタイプの虫下し薬は飲ませやすく効果も期待できます。
ちなみに筆者の猟犬は1歳10ヶ月ですが、一度も回虫は見たことはありません。
ですが、散歩が終わったあとや触ったあとは必ずハンドソープなどできちんと手洗いをしています。
犬回虫は人間にも感染することがありますので、注意が必要です。
9位 サナダムシ 2000人
条虫ともいいますが、日本ではサクラマスやシロザケ(トキシラズ)などに寄生する幼虫(プレルセルコイド)を
経口摂取することで感染します。
生食を避ければ感染する可能性は非常に低くなるのですが、日本には刺身の文化がありますからね。
筆者も釣った魚は基本的にお刺身でいただくので、これには注意しないといけないかもしれません。
10位 ワニ 1000人
日本では動物園でしか見られない動物ですが、やっと出てくれました。
ワニは大きく分けてアリゲーター科とクロコダイル科に分かれますが
人を襲うこともある獰猛なワニは、クロコダイル科のナイルワニやイリエワニ。
大型のナイルワニやイリエワニは頂点捕食者であり、天敵はいません。
生息地はアフリカやオーストラリア、南北アメリカ、ユーラシア大陸南部カリブ海の島しょなど非常に広いため
犠牲者が多く出ているのかもしれません。
11位 カバ 500人
日本におけるカバの印象は、こういったイラストからも分かるように
可愛いといったイメージをお持ちの方が多くいらっしゃるようですが
陸上ではゾウ、サイに次ぐ3番目に大きな動物で、体重は約1.5t。
車で例えると、人気車種のトヨタのRAV4とほぼ同等です。
非常に大きいですよね。
生息地はサハラ砂漠以南といった限られた地域にも関わらず
年間500人ものヒトを殺しています。
生息範囲が広いワニが年間1000人、生息範囲が狭いカバが年間500人。
そう考えるとカバの獰猛さが分かるような気がします。
12位 ゾウ 100人
陸上生物の中で一番大きいのがゾウ。
あんな巨体なのに時速40km/hという速さで走ることができます。
また非常に長い鼻を器用に使って、果物を食べたり、サーカスではショーを行ったりしています。
人間に飼い慣らされたゾウは人に甘えるほど温厚な動物ですが
自分や仲間が危害を加えられたりすると、攻撃的になって牙を剥き凶暴化します。
普段は温厚だからといって、安易に接すると突然暴れることになるかもしれません。
12位 ライオン 100人
以前は北アメリカやアジアにも生息していたようですが、猟銃が発明されると次々に姿を消し
今ではアフリカのサバンナとインドの一部にのみ生息しているとのことですが
それでも年間100人が亡くなっているのにはビックリです。
14位 オオカミ 10人
筆者の大好きな著書の“狼の群れと過ごした男”には、基本的にはオオカミは人を襲うことはないが
ヒトの中の例えば食べた鶏肉の臭いであったり、オオカミの流行病に効く
特効薬のワクチンを接種していたりすると、稀にヒト(牛)を襲うことがあるそうです。
ですが、著者はそういったことはあっても野にオオカミを放って増えすぎたシカを駆逐し
本来の食物連鎖に戻した方がいいとも書いてありました。
オススメの著書の1つですので、興味のある方はご覧ください。
14位 サメ 10人
私たちがよくニュースなどで見聞きする動物が出てきました。
海に入らなければサメに襲われることはないのですが
それでも年間10名の方が襲われ亡くなっています。
筆者は元スキューバダイビングのインストラクターで潜水士なんですが
水中でサメを見ると怖くないか?
とよく聞かれます。
むしろ水中でサメが見たいんです(笑)
例えば、あなたが歩いている時、正面からあなたと同じくらいの背丈の
怪獣が火を吹きながらあなたに近づいてきたとしましょう。
あなたは怖くなってその場から逃げ出すことだと思います。
水中でも同じで、水中で泡を吐く動物は人間以外ではガチャピンだけ。
泡を吐きながら近づいてくる奇妙な動物に
サメは恐れをなして逃げていきます。
一般的にハンマーヘッドと呼ばれるアカシュモクザメは獰猛だということで
海水浴場に現れると報道され遊泳禁止になりますが、ダイバーにとってハンマーヘッドシャークは憧れのサメ。
日本でも与那国島(沖縄県)や神子元(静岡県南伊豆)ではハンマーヘッドシャークの群れが見られ
世界中から多くのダイバーが集まります。
ですが、日本でも見られるホホジロザメやイタチザメは、時にダイバーを襲うこともあるので注意です。
番外編 イノシシ、クマ
日本ではよく報道されているイノシシやクマによる被害ですが、世界ではランクインしませんでした。
日本でライオンやワニ、カバに襲われることは皆無に等しいわけなんですが
他の国からすると、イノシシやクマに襲われることはほぼない。
といったところかもしれませんね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
このビルゲイツのレポートを見て、人それぞれ捉え方が違うと思いますが
筆者は日本で生まれ育ってよかったと思いました。
去年から世界的大流行している新型コロナウイルスですが
感染者数は201,746,214人で、死亡者数は4,278,354人で(2021年8月7日現在)蚊の72.万人を凌ぐダントツ1位です。
日本でもワクチン接種が普及しつつあり、感染者数や重症者数は増加しつつも死亡者数は減少傾向にあります。
撲滅まで程遠いですが、いつの日かマスクなしで街を歩ける日が来ることを心からお祈りします。
人を多く殺す生物は大型獣というイメージがあるのですが
実はそうではなく、蚊や寄生虫、ウイルスといった小さな生物でした。
皆さんも気をつけてください。
この記事を書いた人
新米猟師よりより
狩猟歴3年目の兼業猟師で週末猟師。
元スキューバダイビングのインストラクターで潜水士。
前世はポリネシア人の漁師らしい。
YouTubeチャンネルJIMNY 4 LIFEにてJB64ジムニーの紹介動画や
狩猟、釣り(主にカヤックフィッシング)、キャンプの映像を配信中。
ブログ、Facebook、Instagram、TwitterなどのSNSでも情報を配信。
夏はカヤックフィッシングやキャンプ、秋口〜春先にかけては主にイノシシの有害駆除の様子を
自身のYouTubeチャンネルで配信。
だが、全く法律違反していないのに誰かが通報し、警察署へ呼び出され
そのことをYouTubeで言って、記事を書いたらバズる。
先日有料級の記事を書いたらえらく好評だったので、シリーズ化したいと思ってる。
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趣味はプロレス観戦。
好きなプロレスラーはケンドーカシンなどのマスクマンや、グレートムタなどの怪奇派レスラー。
猟犬カシン
令和元年11月22日生まれで今現在1歳8ヶ月のオス。
(2021年7月現在)
よくラブラドールレトリバーに間違えられるが
父に実猟系の紀州犬、母に日向犬を持つ純和犬。
名前はプロレスラーのケンドーカシンに由来する。
普段は人や飼い犬に対してフレンドリーな性格を持つが
イノシシを前にすると勇猛果敢に吠え立て突っ込み、場外乱闘を得意とする。
そのため常に生傷が絶えない。
今年(令和3年度)の活躍に期待。
YouTubeでのカシンの成長記はコチラ!
猟犬見習いタイガー
令和3年2月2日生まれ。
(正式な誕生日は分からないが、大体このくらいだろうとしている)
保健所がかけた罠で捕獲され、殺処分のところを引き取り
猟犬見習いとして飼育、訓練中。
名前の由来は息子の意見を採用し、タイガーマスクからタイガーと命名。
だが、筆者は勝手にタイガージェットシンから由来と決めつけているが
第一希望であったブッチャーにしておけばよかったと後悔している面もある。
好き嫌いは全くなく、とにかく食欲旺盛。
スワレ、オテ、オカワリ、フセ、ゴロン、呼び戻しはほぼマスター。
来期(令和3年度)デビューの予定なので、箱罠にイノシシがかかり次第、単犬であててみたいと思っている。
YouTubeでのタイガーの成長記はコチラ!