ツイッターやインスタなどのSNSでも大きな話題となったニュースについて解説します。
狩猟期間外に禁止区域で猟銃撃ちイノシシ捕獲 岡山北署、容疑で10人書類送検
狩猟期間外に、禁止区域で猟銃を撃ってイノシシを捕獲したとして、岡山北署は2日、鳥獣保護法違反、銃刀法違反などの疑いで、41~84歳の男性10人=岡山、赤磐、総社市=を書類送検した。
書類送検容疑は、10人は共謀し、4月3日午前11時ごろ、岡山市北区建部町大田、国道484号の路上などで、散弾銃を計4発発射し、イノシシ1頭を捕獲するなどした疑い。発射したのは男性建設作業員(55)=赤磐市=という。
同署によると、鳥獣保護法では国道や住宅に近い場所での発射を禁じており、現場はいずれにも該当していた。岡山県内のイノシシの狩猟期間は11月15日~3月15日。期間外は、岡山市の有害鳥獣駆除の許可が必要だが、10人は得ていなかった。
「間違いない」といずれも容疑を認めている。使用した散弾銃計17丁は押収した。
「国道で猟銃を撃った男がいた」との情報が同署に寄せられ、捜査していた。10人は岡山、東備の2地区猟友会に所属。以前から期間外の銃猟を繰り返していたとみられる。
ツイッターでの反応
神奈川県の女性ハンターグループでもある一般社団法人Japan Hunter Girlさんも怒りのツイート。
YouTubeでもお世話になっている“遊ぶコツばっかチャンネル”のべん10さんも反応しています。
インスタでの反応
YouTubeチャンネルJIMNY 4 LIFEへのコメントはもちろん、インスタでも相互フォローしていただいてる
斧’sガレージさんも取り上げていらっしゃいます。
代表的なものだけをピックアップしましたが、気になる方はツイート、インスタをチェックしてみてください。
狩猟期間はいつ?
全国共通の狩猟期間
鳥獣保護管理法により、主として安全確保の観点から毎年10月15日(北海道にあたっては毎年9月15日)から
翌年4月15日までとされていますが
鳥獣の保護の観点から、鳥類の繁殖や渡りの時期等を考慮し、鳥獣保護管理法施行規則により
下記の通り、狩猟期間が短縮されています。
本州(北海道以外の区域)…毎年11月15日〜翌年2月15日(猟区内 毎年10月15日〜翌年3月15日)
北海道…毎年10月1日〜翌年1月31日(猟区内 毎年9月15日〜翌年2月末日)
都道府県によっては有害鳥獣による被害から都道府県独自で期間を延長している場合があります。
福岡県の狩猟期間
ちなみに筆者の住む福岡県の令和2年度の狩猟期間に関しては
イノシシ、シカのみ11月1日〜3月15日
イノシシの箱罠猟のみ10月15日〜4月15日(銃器による止め刺しは可能)
まで延長されています。
ただし10月15日〜10月31日及び3月16日〜4月15日の間において
イノシシの箱罠に結果としてシカが捕獲された場合に限り、例外としてイノシシと同様の取り扱いをしています。
これらは各都道府県によって変わりますので、ご自身の地方自治体で確認してみてください。
ニュース記事の岡山県の狩猟期間は?
令和2年度の岡山県の狩猟期間はシカ、イノシシに限り11月15日〜翌年3月15日まででしたが
事件が起きたのは4月3日。
狩猟期間外での狩猟行為でした。
狩猟禁止区域とは?
公道や住宅地などでの狩猟行為
狩猟期間内であればどこでも狩猟対象鳥獣を捕獲できるわけではありません。
狩猟禁止区域というものが設定されていますが
多くありますのでここではニュース記事の禁止区域に絞ります。
狩猟禁止区域として、公道、区域が明示された都市公園等
銃猟の禁止区域として、住宅が集合している地域、もしくは広場、駅
その他大勢の者が集合する場所
とあります。
最高裁の判例で半径200m以内に住宅が10軒あれば、住宅集合地として認める判例が出ています。
ニュース記事の狩猟禁止区域
国道484号の路上や住宅地付近で散弾銃で4発発砲していたところを通報されており
警察が聞き込み捜査したところ10人が浮上。
「間違いない」といずれも容疑を認めています。
狩猟期間外で野生鳥獣を捕獲するには?
狩猟期間外での野生鳥獣捕獲に必要な資格
有害鳥獣捕獲従事者である必要があります。
有害鳥獣捕獲従事者の認定を受けるには、各自治体によって変わりますので各猟友会に問い合わせてください。
一般的に一定期間、狩猟者登録して実績を作り、猟友会に所属する狩猟者より推薦があれば認められます。
有害鳥獣駆除活動を実施するための条件
各都道府県によって変わりますが、福岡県では
猟銃を使った有害鳥獣捕獲においては有害鳥獣捕獲従事者が3人以上で行うことが決められています。
罠を使った有害鳥獣捕獲においては特に定められていませんが
安全面の観点から複数名での見回りが推奨されています。
ニュース記事での有害鳥獣捕獲の有資格者数
書類送検された10人全員とも有害鳥獣駆除の許可を受けていませんでした。
また、別のニュースにもあるように以前から繰り返し行っていたことも判明。
男10人「楽しく以前から密猟」、期間外に散弾銃でイノシシ捕獲
事件の悪質さが伺えます。
今後は?
書類送検後の流れ
検察官による取り調べが行われ、起訴、不起訴が決まりますので今後の動向に注目したいところです。
肝心な猟銃の方は?
今回の事件により使用された10人の散弾銃17挺が押収されました。
起訴、不起訴はともかく猟銃所持許可は取り消され、猟銃も失うことになります。
法的には5年経過すれば、再び猟銃所持の申請はできます。
ですが、現実的には無理といってもいいでしょう。
まとめ
総勢10人での期間外の狩猟行為と銃猟禁止区域での発砲という、およそ考えられない大規模での違反行為でした。
それも日常的に密猟行為を繰り返し行っていたことから悪質さが伺えます。
今回の一件で地域住民の不安は解消されたかに思われますが
一方で10人が行っていた行為によって地域住民や田畑が守られていたこともこれまた事実。
貴重な10人の戦力が一気に減るとなると、有害鳥獣の被害が加速することは否めません。
ですが、今回の事件は決して許されるものではなく、事故が起きなかったことがせめてもの救いかもしれません。
遵法精神で、かつ安全狩猟を心がけた上で、有害鳥獣を駆除することが地域への貢献だと思います。